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製作ノート
■10月23日〜10月30日|映像理論の学習と、M1展の展示形式の検討
前回の面談で受けた映像編集に関する指摘の補足として、細田先生より関連書籍(『映像編集の秘訣』を含む計二冊)を借用。理論的な学習を深める。 並行して、華道の実践と花材のUV蛍光反応のデータ蓄積も継続。その過程で、細田先生と共にサボテン(仙人掌)を観察したところ、他の植物とは異なる特異な蛍光反応が確認され、強い関心を引かれた。この結果を受け、次なる被写体の主要テーマとして、サボテンを含む多肉植物のUV撮影を計画に加えることとした。 また、1月末に開催予定の「修士一年次展(M1展)」の展示形式について、細田先生と具体的な協議を行った。議論の結果、これまでの研究成果を体系的に提示する手段として、写真集(フォトブック)形式での展示を採用する方針が固まった。 ただし、具体的な印刷仕様(用紙選定、サイズ、製本方法、コスト管理など)については、最終的な作品群の構成を見ながら、引き続き検討していく課題とする。
玖 枢
11月13日読了時間: 1分
■ 10月17日〜10月23日|蛍光反応の蓄積と、映像編集技法に関する考察
この期間は、引き続き「二重の色彩構成」の知見を深めるため、新たな花材の蛍光反応について観察と記録を継続した。 主な新規観察例: 雲竜柳(ウンリュウヤナギ): 葉部分が、UV照射下で非常に鮮やかな 赤色 の蛍光を示した。 黄百合(キユリ): 可視光下で黄色の花弁が、UV下では 緑色 へと変化した。 白菊(シラギク): UV照射下でも顕著な色彩変化は見られなかった。 これにより、種によって蛍光反応の有無や変色のパターンが大きく異なることがあらためて確認され、構図設計における「予測不可能性」と「発見の面白さ」が再認識された。 並行して、これまでの写真撮影の合間に記録していた短い映像素材(約15秒)を編集し、ポートフォリオ(動画クリップ)として細田先生に提出。 面談において、先生より編集技法(カットの繋ぎ方、リズム等)に関する具体的な指摘を受けた。特に、いくつかの古典映画をリファレンスとして提示され、映像における時間軸の構成について、非常に有益な示唆を得た。 このフィードバックを受け、同映像はYouTubeにアップロードし、自身のポートフォリオサイ
玖 枢
11月13日読了時間: 1分
■ 10月3日〜10月16日|華道学習と「二重の色彩構成」の発見
前回の計画に基づき、インターネット上の資料を参照しながら華道の独学を開始。並行して、スーパーマーケット等で安価な切り花を継続的に収集し、「挿花→(UV)撮影」のプロセスを繰り返した。 特に、枝や茎を意図した角度で固定するための「補強」といった技術の学習を通じて、一定の技術的進歩は感じられた。しかし、それ以上に、華道そのものが持つ高度な技術体系と美的感覚(「审美眼」)の習得には、単なる知識の蓄積以上の、長期的な訓練と実践が必要であることを痛感した。 この試行錯誤の過程で、紫外線撮影特有の、極めて重要な発見があった。多くの花材が、可視光下とは全く異なる蛍光反応を示すことである。 主な観察例: 桔梗(キキョウ): 可視光下では緑色の葉が、UV照射下では鮮やかな 黄色い蛍光 を示した。 紫色の霞草(カスミソウ/満天星): 可視光下では紫色の花弁が、UV照射下では明確な 赤色 に変化した。 この発見は、本研究における「華道を用いたUV撮影」が、二重の色彩秩序を考慮する必要があることを強く示唆している。 すなわち、 (1)自然光(可視光)下での色彩的バラ
玖 枢
11月13日読了時間: 2分
■ 9月26日〜10月2日|構図研究の試行錯誤と「華道」への本格着手
9月25日の面談での方針に基づき、本格的に構図研究に着手した。 初期段階として、美術史における多数の「名画」を参照し、その構図を直接的に自身の被写体(鉱石など)に当てはめる(代入する)方法を試みた。並行して、立体構成の参考として「西洋の花芸(フラワーアレンジメント)」も試したが、どちらの手法も表層的な模倣に留まる感覚が拭えず、画面がしっくりとこない。 これらの試行を経て、単に型を借りるのではなく、「華道(插花)」の精神性や空間把握を基礎(ゼロ)から学ぶ必要性を再認識した。 そこで方針を転換し、**「まず個人創作としての華道作品を成立させ、その完成した立体構成物に対し、あらためて紫外線(UV)による精微撮影(マクロ撮影)を行う」**という二段階のアプローチを構想した。 手始めとして、DAISO(ダイソー)にて小型の花瓶を複数購入。また、試行錯誤のための素材として、スーパーマーケットで多種の安価な切り花を数束調達し、新たな制作サイクルのための基礎準備を整えた。
玖 枢
11月13日読了時間: 1分
■ 9月16日〜9月25日|後期面談:「記録」から「作品」への転換と、構図研究の開始
9月25日、秋学期開始後、初めてとなる細田先生との面談を実施。夏期休暇中に取り組んだカビの培養観察、月食撮影、および望遠鏡の自作構想について報告を行った。 教授からの主なフィードバックと、それに基づく方針転換は以下の通りである: カビ撮影の限界点: 菌糸の質感は評価されたものの、「画面の変化が頭打ちである」との指摘を受ける。これは自身でも「また同じ絵だ」と感じていた停滞感と一致し、主題として新しい驚きを生み出しにくい素材である可能性が示唆された。 天体撮影計画の保留: 望遠鏡による深空撮影の構想について、機材コスト(中古赤道儀、フィルター等で十数万円)と夜通しの撮影時間を要する点を教授と共に試算。結果、「趣味としては最高だが、修士論文の軸とするには重すぎる」との結論に至り、この計画は当面“ほどほど”の範囲に留める、あるいは保留することを確認した。 次段階への移行=「美術性」の追求: 教授より、研究は「新しい機材」を追う段階から、「どう魅せるか」という画面の構成力を鍛える段階へ移行すべきである、との強い助言を受けた。構図、色彩、視線誘導といっ
玖 枢
11月13日読了時間: 2分
■ 9月7日〜9月15日|初めての月食撮影と、物理的な課題
今週の大きなトピックは、9月8日の未明にあった皆既月食でした。自作望遠鏡の完成はまだ先ですが、これは天体を対象とした初めての撮影経験になると思い、手持ちの70-300mmレンズで挑戦してみることにしました。 月が地球の影にだんだんと入っていく様子は順調に撮影でき、そのプロセ...
玖 枢
9月17日読了時間: 2分
■ 8月29日〜9月6日|思考の深化:ミクロコスモスとマクロコスモスを結ぶ方法
今週は、カビたちの世話を続けつつも、ほとんどの時間と思考を、今後の研究の方向性を定めることに費やしました。 きっかけは、前期末の院生展や、細田先生との度々の面談を通して、ずっと意識していたことです。それは、作品の最終的な「表現形式」をどう構築していくか、という課題でした。特...
玖 枢
9月17日読了時間: 3分
■ 8月22日〜8月28日|カビ培養の仕切り直しと、材料テスト
前回のカビの育ちがゆっくりだったので、今週はやり方を少し変えて、「色々な材料で、種類を見極める」ことを目標にしてみました。 まず、きれいに洗った小瓶をいくつか用意して、それぞれに違う材料(蜜柑の皮、食パン、葡萄、胡椒、トウモロコシ)を入れて育てることに。瓶の中が乾かないよう...
玖 枢
9月17日読了時間: 2分
■ 8月12日〜8月21日|遠隔観察の続編:ピンク葉ライチ/培養観察
北京の母の水耕ライチは、前回よりもピンクの葉がぐっと大きくなって見応えが出てきました。タイミングを合わせて、母にUVAで照らしてもらい(波長は細田先生のライトと同程度と推定)、写真と動画を送ってもらっています。いまは週1で同条件(距離・角度・無地背景)で撮ってもらい、色の推...
玖 枢
8月22日読了時間: 2分
■ 8月2日〜8月11日|小さな発光と、遠くの家族との観察
展示も中期報告もひと段落し、8月前半は少しゆるやかに素材探しと新たな観察を始めました。東京に戻ってからは、浅草橋の鉱物店で新しい石をいくつか購入。UVライトを持参し、その場で簡単に蛍光反応をチェックしてみたのですが、残念ながら今回は特にめぼしい発光は見られず。思ったような“...
玖 枢
8月11日読了時間: 1分
■ 7月31日〜8月1日|中期報告会で得た視点と記憶
7月末には、大学院二年生・博士後期課程による中期報告会があり、私は今回は発表者ではありませんでしたが、聴講という立場で二日間参加しました。 写真専攻からの発表はなかったものの、日本画や油画、彫刻といった他分野の制作過程やコンセプトに触れることで、純粋に「作るとは何か」という...
玖 枢
8月11日読了時間: 2分
■ 7月19日〜7月28日|院生展の準備と“見せる”ことへの意識
この期間は、大学院生展の準備に集中していました。 出展作品として選んだのは、これまでの観察と試行錯誤の中で撮りためた紫外線写真の中でも特に思い入れのある5点。最終的な構成やトーンを見直しながら、Lightroomでの微調整やPhotoshopによる細部の補正を行い、「他人の...
玖 枢
8月11日読了時間: 2分
■ 7月12日〜7月18日|参考資料の読解と観察補完
教授より推薦された展覧会図録『ヒカリ展』を受領し、通読を通じて自然光・人工光の美術的応用と視覚認識における光の役割について多角的な知見を得た。特に、展示作品における**「光そのものを素材とする試み」や「知覚のズレを作品化するアプローチ」**は、紫外線を通じて“見えないものを...
玖 枢
7月20日読了時間: 1分
■ 7月6日〜7月11日|機材選定および導入準備
今後の拡大観察および高倍率撮影のため、撮影機材の強化を検討。特に小型試料(昆虫の複眼や粘菌の胞子体など)に対する焦点深度および倍率の柔軟な調整を目的として、蛇腹式ベローズ装置を新規導入予定。これはレンズとセンサー間の距離を可変化させ、既存機材における接写性能を大幅に拡張する...
玖 枢
7月20日読了時間: 2分
■ 7 月1日〜7月5日|教授引率による山間部の野外観察
宇都宮郊外の山林にて、苔、枯葉、樹皮、昆虫、胞子体などを対象に紫外線観察を実施。特に樹皮表面や地衣類において、青白〜赤色の蛍光反応や構造的反射が局所的に観察され、同一種内でも個体差が確認された。観察は主に日没後に行われ、人工光と自然光の切り替えによる視覚印象の変化も記録され...
玖 枢
7月20日読了時間: 2分
■ 6月20日〜6月30日|廃棄物および生活用品の蛍光反応記録
ごみ収集日前夜、生活圏内にて近隣家庭の可燃ごみを遠距離から非接触で撮影。透明な袋越しに、 蛍光を示す素材(衣類、プラスチック容器、包装フィルムなど)が複数確認された。中でも調味料の空き容器や清掃用具、洗剤のボトル等 が、365nm紫外線下で明瞭な蛍光反応を示した。...
玖 枢
7月20日読了時間: 1分
■ 6月19日|東京都美術館および国立科学博物館の視察
東京・上野エリアの展示施設を訪問。国立科学博物館では、鉱石・化石・剥製等の常設資料を中心に撮影・記録を行い、特に鉱物標本における展示照明の工夫や、アクリルケース越しの屈折・反射効果に着目した。観察環境と視覚印象との関係性は、今後の作品展示形式の設計において有用な示唆を得た。...
玖 枢
7月19日読了時間: 1分
■ 6月13日〜6月18日|身近な昆虫の蛍光観察
室内外や生活圏内にて発見された昆虫(蛾・黄蜂・天牛など)を収集し、照射条件を統一した上で紫外線下の蛍光反応を観察・記録した。死亡直後の個体に限らず、乾燥・劣化した標本でも、表面の鱗粉や節構造、翅における反射特性の差異が明瞭に確認された。種によって蛍光の発色部位は大きく異なる...
玖 枢
7月19日読了時間: 1分
■ 5月26日〜6月12日|一時帰国および野外観察の開始
一時帰国の際、大型紫外線ランプと三脚を日本へ持ち帰った。季節の変化に合わせて、昆虫や苔、花などの自然物に対する紫外線観察と撮影を開始。 甲虫類:生死に関わらず、殻部分には蛍光はほとんど見られないが、眼の部分は白く強く反射する傾向が確認された。...
玖 枢
6月26日読了時間: 1分
■ 5月8日〜5月25日|ミネラルフェアおよび蛍光反応の観察②
ミネラルフェアにて多数の鉱石を購入し、鉱石および日用品に対する紫外線蛍光反応の観察・記録を実施。 【鉱石類】 隕石(Muonionalusta):鉄隕石で、表面は黒く、光の反射はほとんど見られない。 菊石の化石:硫化鉄部分は完全反射しないが、玉髄化部分は半透明からやや濁った...
玖 枢
6月26日読了時間: 1分
以下は、2024年4月から今までの研究制作記録である。視覚によって捉えられない情報を写真メディアによって可視化することを目的とし、紫外線の性質および鉱石・日常物質との関係性を観察・撮影・記録する実験を行った。
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