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■ 8月29日〜9月6日|思考の深化:ミクロコスモスとマクロコスモスを結ぶ方法

  • 執筆者の写真: 玖 枢
    玖 枢
  • 9月17日
  • 読了時間: 3分

今週は、カビたちの世話を続けつつも、ほとんどの時間と思考を、今後の研究の方向性を定めることに費やしました。

きっかけは、前期末の院生展や、細田先生との度々の面談を通して、ずっと意識していたことです。それは、作品の最終的な「表現形式」をどう構築していくか、という課題でした。特に院生展で他の研究室の先生方から質問を受けた際、自分の作品が「この物質は紫外線でこう光ります」という事実の提示——まるで科学雑誌の図版のような——に留まってしまっているのではないか、という焦りを感じ始めました。


そもそも私がこの研究を始めたのは、とても個人的で、シンプルな感動が原点にあります。何気なく大理石の欠片にUVライトを当てた時、内部に含まれる無数の微小な結晶が、まるで宇宙空間に広がる星々のようにキラキラと輝いたのです。ただ、その「美しい」と感じた最初の衝動が、これまでの作品では十分に表現しきれていない…。趣味で始めた天体望遠鏡を前に、この個人的な原点と、研究としての表現を結びつける方法はないだろうか、と模索し始めました。


最初は、望遠鏡で「紫外線下の月」を直接撮影するというアイデアを考えました。しかし、これは以前から考えていた通り、大気の問題や機材の高額さ、そして何より芸術的表現としての難しさがあり、現実的ではないとすぐに考え直しました。

そこで発想を転換し、私の研究の根本にある「光という“問い”を対象に投げかけ、その“応答”を記録する」という論理そのものを、天体に向けることはできないか、と考えました。

その時ふと思い出したのが、前期の初めに細田先生が紹介してくれた「三色法」でした。赤・緑・青のフィルターで同じ対象を3回撮影し、色を再現する写真の古典技法です。当時は、蛍光の色をありのままに撮りたいと思っていたので、わざわざ分解する必要性を感じず、使うことはありませんでした。ですが、「対象の、異なる色光に対する“応答”の違いを記録する」というこの方法の本質が、今の自分の課題——微観と宏観を同じ方法論で繋ぐ——に対して、非常に有効な手段になるかもしれない、と思いつきました。


この考え方を応用すれば、二つのテーマを同じ方法論で繋げられるかもしれない、という可能性が見えてきました。

宏観(マクロ): 望遠鏡とR/G/Bフィルターで月を撮る。「鉱物月亮」プロジェクト。月面の場所による微弱な色の反射率の差をデータとして捉え、色彩を強調することで、肉眼では見えない「月の地質」を可視化する。

微観(ミクロ): 同じ三色法をUV蛍光撮影にも応用する。「鉱物蛍光指紋」プロジェクト。UVAで発光した蛍光をR/G/Bに分解して記録し、より客観的なデータとして鉱物の特性を捉え直す。

長く続いた靄のかかったような思考の先で、ようやく具体的な道筋が見えてきたように感じます。これで、望遠鏡の組み立てにも、より明確な目的意識を持って取り組むことができそうです。

 
 
 

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