top of page

■ 7月31日〜8月1日|中期報告会で得た視点と記憶

  • 執筆者の写真: 玖 枢
    玖 枢
  • 8月11日
  • 読了時間: 2分

7月末には、大学院二年生・博士後期課程による中期報告会があり、私は今回は発表者ではありませんでしたが、聴講という立場で二日間参加しました。

写真専攻からの発表はなかったものの、日本画や油画、彫刻といった他分野の制作過程やコンセプトに触れることで、純粋に「作るとは何か」という根本的な部分を見つめ直す時間になりました。

細田先生が話された「質問することは観客側の義務に近い」という考え方も、とても印象に残りました。発表をしっかり理解しようとするためにも、ある程度は事前に資料を読んでおくこと、そして質問を準備すること。それは発表者のためだけではなく、聞き手としての自分の学びにもつながるというお話でした。

その姿勢にとても共感し、今後自分が中期報告を行う際には、「質問されること」も含めて内容を組み立てていこうと思いました。ただ話すだけでなく、問いを受けることで伝わり方がどう変わるのか、そこも含めて試してみたいと感じています。


そしてもう一つ強く印象に残っているのが、おそらく博士後期課程に在籍している、56歳の漫画専攻の方による発表でした。彼はプレゼンの中で、心理療法として使われる「箱庭(サンドプレイ)」の実例を紹介し、自身や家族を動物のフィギュアで象徴的に配置していました。自分は“ブタ”、奥さんは“大きな耳のゾウ”、子どもは“ヒツジ”……といった具合に、ユーモアを交えながらも非常に誠実に「自分の関係性」を語っていたのが印象的でした。

特に、最後尾を歩く“ブタ”のミニチュアを「これが自分です」と紹介されたとき、胸がじわっと苦しくなるような感覚がありました。年齢も、人生経験も違うけれど、あの静かな背中が語るものの重さに、自分の焦りや功利的な不安が少し溶けていくような気がしました。

たぶん私はこれからも、あの“ブタ”のことをよく思い出すと思います。

 
 
 

最新記事

すべて表示
■ 8月12日〜8月21日|遠隔観察の続編:ピンク葉ライチ/培養観察

北京の母の水耕ライチは、前回よりもピンクの葉がぐっと大きくなって見応えが出てきました。タイミングを合わせて、母にUVAで照らしてもらい(波長は細田先生のライトと同程度と推定)、写真と動画を送ってもらっています。いまは週1で同条件(距離・角度・無地背景)で撮ってもらい、色の推...

 
 
 
■ 8月2日〜8月11日|小さな発光と、遠くの家族との観察

展示も中期報告もひと段落し、8月前半は少しゆるやかに素材探しと新たな観察を始めました。東京に戻ってからは、浅草橋の鉱物店で新しい石をいくつか購入。UVライトを持参し、その場で簡単に蛍光反応をチェックしてみたのですが、残念ながら今回は特にめぼしい発光は見られず。思ったような“...

 
 
 
■ 7月19日〜7月28日|院生展の準備と“見せる”ことへの意識

この期間は、大学院生展の準備に集中していました。 出展作品として選んだのは、これまでの観察と試行錯誤の中で撮りためた紫外線写真の中でも特に思い入れのある5点。最終的な構成やトーンを見直しながら、Lightroomでの微調整やPhotoshopによる細部の補正を行い、「他人の...

 
 
 

コメント


  • Facebook
  • Instagram
  • X
  • TikTok

© 2025 by xenomido. Powered and secured by Wix 

 

bottom of page