■6月中旬〜6月26日|展示形式の設計——遮光暗室の制作と全体チェック②
院生展(7月末〜8月上旬)に向けて、展示形式の具体的な設計と制作を進めた。
本展示の中核は、観賞者が撮影者と同じ身体的経験を反復する空間である。映画用の黒ビニールを用いた遮光暗室(高さ295cm×幅240cm×奥行255cm)を実際に構築した。空間の寸法は面談時に細田先生と共に算出したものである。観賞者は入口の外で懐中電灯を一本受け取り、完全な暗闇の中に入り、自らの手で写真を照らして鑑賞する。外送理論の観点からは観賞者自身が光を「送る」主体となり、アウラの観点からは写真がその光に「応答」する——展示形式そのものが本研究の理論的主張を体現する仕組みとなることを意図している。
制作過程では実践的な試行錯誤があった。完全遮光の空間では出口の位置を見失う恐れがあるため、当初は蓄光テープを入口の縁に貼付して目印とすることを試みたが、蓄光の減衰が早く実用に耐えなかった。そこで方針を転換し、出口側のビニールの裾を床から約2cm浮かせる形とした。足元に生じるわずかな光の漏れが出口の目印として機能すると同時に、慌てた観賞者が裾を踏んでビニールを破損するリスクも回避できる、二重の解決策である。
暗室内に併置する制作ノート抜粋の提示方法についても検討を重ねた。当初は反射素材の使用を考えたが、最終的に黒背景に白文字を印刷する形式を採用した。懐中電灯を向けたときにのみ、闇の中から文字が浮かび上がる——「光を向けて初めて見える」という体験構造が写真と揃い、展示全体の一貫性が保たれる。写真はA3判4枚以上を、発泡材の台への斜め置きおよび床への直置きにより、低い位置に配置する。
6月26日の全体チェック②では、5月に撮影した花々を干からびさせ、その経時変化を紫外線下で記録した写真群を提示した。乾燥に伴い蛍光の色調・分布が変化する様子を追った作品であり、細田先生・千葉先生の双方から「色が綺麗だ」との評価を得た。また上記の展示方法を説明したところ教授方の関心は高く、複数の助言をいただいた。とりわけ佐々木先生からの「撮影時の身体感覚を伝えたいのであれば、音の再現も試みると面白いのではないか」という提案は、視覚に限定しない体験設計の可能性を開くものとして留意している。展示方法はこのチェックをもって承認された。
なお、面談では今後の被写体拡張についても複数の構想が示された。蛍光剤を溶かした水を花に吸わせ、物質が蛍光を内部に取り込んで発光する状態を作る実験(蛍光剤は購入検討中)、河原に自生する野生の花の撮影、ウツボカズラの入手などである。特に前者は、蛍光を「表面の反応」ではなく「内部からの応答」として提示しうる点で、アウラ解釈を強化する実験となる可能性があり、今後の課題とする。
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