top of page

■6月4日〜6月5日|面談での理論的深化とベンヤミン講義の聴講

執筆者の写真: 玖 枢
玖 枢
7月4日
読了時間: 2分

6月4日の面談では、理論的枠組みの記述方針について重要な指針を得た。外送理論に関する小論文は、現代科学の知識(光の反射・屈折等)をいったん頭から取り除き、古代ギリシャの思考の内側に入り込んで書くべきである、という助言である。面談中には、ボードレールの「常に酔っていなければならない。酒に、詩に、あるいは美徳に」という一節も提示された。外送理論を科学的正誤の対象としてではなく、一つの世界観として内側から生きて記述せよ、という趣旨と理解している。ボードレールがベンヤミンにとって最重要の参照先の一人であることも、この文脈で改めて確認された。

また、ベンヤミンの寓意(アレゴリー)概念についても議論した。意味が断片化し、廃墟のように寄せ集められるというその構造を、自身は映画におけるモンタージュ——断片の組み合わせが新しい意味を生成する技法——との類似において理解した。一方で、ベンヤミンをめぐる政治的・宗教的文脈からは距離を取り、あくまで視覚とアウラの理論として参照するという方針も確認された。

翌6月5日には、大宮勘一郎先生による講義「ヴァルター・ベンヤミンを読む─現代思想への導き」を聴講する機会を得た。これは細田先生が私費で受講されているオンライン講義であり、本研究のためにとご厚意で共有してくださったものである。この場を借りて記しておきたい。『技術的複製可能性の時代における芸術作品』を軸に、芸術作品が儀礼(Kult)の対象から鑑賞の対象へと移行する過程、跪拝的価値から展示的価値への転換、真正性(Echtheit)とアウラの関係などが体系的に講じられた。とりわけ、技術的複製の意義を「機械的知覚とその記憶保存」——すなわち知覚と記憶の新たなあり方の構築——として捉える視点、および「第一の技術(自然支配)と第二の技術(自然との競演)」「仮象としてのミメーシスと遊戯としてのミメーシス」という対概念は、自身の理論的枠組みを補強する要素として今後組み込みうるものである。

 
 
 

最新記事

すべて表示
■6月末〜7月上旬|中間発表と院生展への準備

7月末の中間発表(7月31日)および院生展搬入(7月28日)に向け、最終準備の段階に入った。 撮影については、月曜夜(22時〜24時)を固定枠とし、7月13日を撮影終了の期日と定めた。以降は手元の素材によって展示を構成する。写真の選定・テストプリント・A3本番出力、導入テキストおよび制作ノート抜粋の文面作成と印刷を、7月中旬にかけて順次進める予定である。 中間発表に向けては、理論的枠組み(外送理論

 
 
 
■6月中旬〜6月26日|展示形式の設計——遮光暗室の制作と全体チェック②

院生展(7月末〜8月上旬)に向けて、展示形式の具体的な設計と制作を進めた。 本展示の中核は、観賞者が撮影者と同じ身体的経験を反復する空間である。映画用の黒ビニールを用いた遮光暗室(高さ295cm×幅240cm×奥行255cm)を実際に構築した。空間の寸法は面談時に細田先生と共に算出したものである。観賞者は入口の外で懐中電灯を一本受け取り、完全な暗闇の中に入り、自らの手で写真を照らして鑑賞する。外送

 
 
 
■5月29日|細田先生との美術館視察——チュルリョーニス、ユージン・スミス、ジブリ

5月29日、細田先生と共に東京の展示施設三館を訪問した。 上野では、ミカロユス・チュルリョーニスの展覧を鑑賞した。音楽家であり画家でもあるチュルリョーニスの、音楽を絵画の形式で表現する試みを前に、細田先生と「五感の表現と媒体の選択」について議論を交わした。あわせてリトアニアの歴史的背景についても話が及び、作品の背後にある文化的文脈への理解を深めた。聴覚的経験を視覚メディアへ翻訳するという同氏の実践

 
 
 

コメント


  • Facebook
  • Instagram
  • X
  • TikTok

© 2025 by xenomido. Powered and secured by Wix 

 

bottom of page