top of page

■2月15日〜2月19日|海南島におけるフィールド観察

執筆者の写真: 玖 枢
玖 枢
4月8日
読了時間: 2分

2月15日より、母と共に海南島を訪問。琼海・三亜・海口の三地を巡り、亜熱帯気候特有の動植物および海洋生物を対象に、紫外線観察を実施した。携行したUVA光源により、これまで宇都宮周辺では遭遇し得なかった生物相に対する蛍光反応を試みた点で、本研究において重要なフィールド経験となった。

最も顕著な発見は、潭門鎮の海岸において、夜間20時頃に観察された海藻群の強い赤色蛍光である。岩礁帯に付着する糸状および殻状の藻類が、UVA照射下で鮮明な赤色の蛍光を呈した。後日、撮影画像を生成AI(Gemini)にて簡易的に同定を試みたところ、褐藻門(Phaeophyceae)に属する糸状藻類および殻状藻類である可能性が示唆された。褐藻類に含まれるフコキサンチンやクロロフィルc等の色素群が紫外線励起下で特有の蛍光を発する可能性があり、これは陸上植物の葉緑体が示す赤色蛍光と類似した発色機構によるものと推測される。


その他の観察対象は以下の通り:


兴隆熱帯植物園:園内の多様な熱帯植物に対し蛍光反応を検証。種による差異が確認されたが、海岸の藻類ほどの強度には至らなかった。

潭門鎮漁港:大型漁港の環境下で、漁網・浮標・廃棄物等の人工物および水産物の蛍光反応を観察。

三亜・小三亜湾周辺で採集した馬尾藻(ホンダワラ属):乾燥状態でも微弱な蛍光反応を示したが、新鮮な状態の方がより明瞭であった。

ココナッツの外皮:繊維質構造に由来すると思われる弱い蛍光が部分的に見られた。

手のひら大のカタツムリ:殻部分に淡い反応。

サンゴの破片および各種貝殻:複数個体を採集・検証したが、想定に反して顕著な蛍光反応はほぼ確認されなかった。これは、サンゴ礁を構成する炭酸カルシウム主体の組織が、UVA帯域では蛍光性に乏しいことを示唆している。


総じて、本フィールドにおける最大の収穫は、夜の海岸で偶発的に出会った蛍光藻類であった。当初想定していたサンゴや貝殻といった「象徴的な海の素材」よりも、足元の岩肌に付着する目立たない藻類の方がはるかに鮮烈な反応を示したという事実は、本研究が一貫して扱ってきた「期待と発見の乖離」というテーマを、あらためて体験的に裏づける結果となった。

なお、潭門鎮海岸で撮影した赤色蛍光藻類の一連の画像は、今後の作品集収録候補として保管している。

 
 
 

最新記事

すべて表示
■6月末〜7月上旬|中間発表と院生展への準備

7月末の中間発表(7月31日)および院生展搬入(7月28日)に向け、最終準備の段階に入った。 撮影については、月曜夜(22時〜24時)を固定枠とし、7月13日を撮影終了の期日と定めた。以降は手元の素材によって展示を構成する。写真の選定・テストプリント・A3本番出力、導入テキストおよび制作ノート抜粋の文面作成と印刷を、7月中旬にかけて順次進める予定である。 中間発表に向けては、理論的枠組み(外送理論

 
 
 
■6月中旬〜6月26日|展示形式の設計——遮光暗室の制作と全体チェック②

院生展(7月末〜8月上旬)に向けて、展示形式の具体的な設計と制作を進めた。 本展示の中核は、観賞者が撮影者と同じ身体的経験を反復する空間である。映画用の黒ビニールを用いた遮光暗室(高さ295cm×幅240cm×奥行255cm)を実際に構築した。空間の寸法は面談時に細田先生と共に算出したものである。観賞者は入口の外で懐中電灯を一本受け取り、完全な暗闇の中に入り、自らの手で写真を照らして鑑賞する。外送

 
 
 
■6月4日〜6月5日|面談での理論的深化とベンヤミン講義の聴講

6月4日の面談では、理論的枠組みの記述方針について重要な指針を得た。外送理論に関する小論文は、現代科学の知識(光の反射・屈折等)をいったん頭から取り除き、古代ギリシャの思考の内側に入り込んで書くべきである、という助言である。面談中には、ボードレールの「常に酔っていなければならない。酒に、詩に、あるいは美徳に」という一節も提示された。外送理論を科学的正誤の対象としてではなく、一つの世界観として内側か

 
 
 

コメント


  • Facebook
  • Instagram
  • X
  • TikTok

© 2025 by xenomido. Powered and secured by Wix 

 

bottom of page